中島塾の中島です。こんにちは。
今日は、以前に書いた記事の続編を。
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【前回の最後】
相手チームは特に強豪ということもありませんでしたが、何せ野球というのは10回に3回ヒットを打ったらほめられるというくらいヒットを打つのが難しいスポーツです。誰も手をあげられずに、お互いの顔を見合わせていました。
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結局そのときは誰も手をあげられないまま私たちのチームの攻撃に移りました。
監督の話があった直後、ちょうど私の打順でした。
私はいい当たりながらもショート正面のライナーに倒れました。
私(なかなかいい感触だったな。)
と思いながらベンチに帰ると、監督が笑顔で私に言いました。
監督『中島、いい当たりやったな。次はヒット打てるな。』
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その試合後、監督は改めて私たち選手を集めて言いました。
監督『いいか、今日試合のときに「ヒットを打てる自信のあるやつは手をあげろ」って言ったのは、「手をあげたら絶対に打てよ」って意味じゃないんや。ヒット打つって言う気持ちで自信持って相手投手に向かっていけっていうことなんや。だからみんな今度から同じ質問されたら絶対全員手をあげろ。で、ヒット打ったら塁上でガッツポーズせい。全員必ずやぞ。』
それからは試合前にベンチで集合したときは「今日ヒットを打てる者!」という監督のかけ声がかかることになり、私たちはどんなときでも必ず手をあげました。そしてヒットを打ったときはベンチに向かってガッツポーズをしました。ベンチも塁上の選手をたたえました。
あれから20年以上が経ち、スポーツと勉強という違いこそありますが、私も指導者になった今なら分かります。監督は私たち選手に自信をつけさせたかったんですね。毎日の練習で技術的にはかなり高いレベルにあった私たちを、もう一段ステップアップをさせたかったのだと思います。今でいうメンタルトレーニングです。
監督のメンタルトレーニングが功を奏し、私たちはその後石川県大会で優勝するまでになりました。
監督、あのときはありがとうございました。技術だけでなく心の中も育てるという監督の「イズム」は、今中島塾の真ん中にあります。