中島塾の中島です。こんにちは。
昨日に引き続き、今日の話もフィクションです。
『セーンパーイ・・・、待ってくださいよぉ~。』
ユウイチは、息を切らしながら中島の背中を追った。
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『ったくユウイチはよぉ!データ見ろ、データを。まずは仮説を立てんだよ。』
中島は面倒くさそうに振り返った。
『はい、でも・・・。こんなデータから何か分かるんですか?』
ユウイチは、捨てられた子犬のような目で中島を見つめた。
中島はやれやれとため息をつきながら話し始めた。
『このデータの「専願2」ってとこ、見てみろや。』
『わあ、毎年ちょっとずつ増えてますね。専願2って何なんですか。』
『学校によっても呼び方は違うんだけど、「願書は併願で出したものの、合格通知を見てから公立受けるのを止めて私立に入ることにした受験生のことだよ。』
『え!そんなの分かるんですか。』
ユウイチは、目を真ん丸に見開いて背筋をピンと伸ばした。
中島はボサボサの頭をかきながら話し続ける。
『私立はこのあたりのデータきっちり取ってっからな。ぬかりねぇ。で、これには2つの理由が考えられる。1つは親子関係の変化だ。昔の親は子どもに対してある程度強制力をはたらかせてコントロールしてきたが、今はそんな時代じゃねえ。やれパワハラだ働き方改革だ言ってよぉ。大人対大人の話が、大人対子どもにまで及んでんだ。子どもの3月まで勉強したくないって意見を、そのまま飲んじまうんだな。』
『あ、確かにそうですね。』
『もう1つは、親の所得の減少と私立高校学費への補助金の拡充だ。』
『あ、この所得だと、私立高校の学費ほとんど補助金出ますね。』
『まあ一度は納めなきゃいけねぇんだけどな。でも、各学期終了後に親の口座に振り込まれるんだわ。』
『これだと、公立に行くのも私立に行くのも、実質金銭的負担はそんなに変わらないですね。』
『今は情報の回りが速いからな。この辺のことは私立高校に通う高校生がいる家からSNSなんかであっという間に拡散されんだよ。』
『ほええ。』
『じゃ、今日の講義はここまでだ。授業料として、今の話を来週の会議で使う資料としてまとめといてくれや。』
『えー!そんなぁ・・・。そうだ!これについては、国か県から補助金出ませんかね。』
『知らねぇよ!』
『セーンパーイ・・・、教えてくださいよぉ~。』
『自分で考えろ!仮説を立てて検証しろ!以上!』
うまいこと言ったつもりが思いがけずマジレスされてしまい、ユウイチは再び会社への道のりをトボトボと引き返すのだった。
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