NHK杯トーナメント感想文

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中島塾塾長室です。どうも。
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私は、日曜日朝10時30分から放送されるNHK杯テレビ将棋トーナメントを毎週欠かさず見ています。日曜朝10時30分にテレビの前にいられないときは、DVDに録画して見ています。
昨日8月5日は、2回戦第1局・森内俊之名人vs佐藤天彦4段でした。
佐藤天彦4段は、昨年10月に4段(プロ)になったばかりの19歳の棋士です。そんな新人棋士が、将棋界で最も権威のある「名人位」を保持する森内俊之氏に挑むのです。私は対局前からワクワクドキドキしていました。
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-対局開始。-
私は食い入るように画面を見つめていました。先手番になった森内名人が2六歩を指し、それに応じるように佐藤4段が8四歩と指しました。どうやら居飛車vs居飛車の戦いになりそうです。
お互いに数手指した後、事件は起きました。まだまだ序盤だというのに、佐藤4段がうっかりミスをしてしまい、それをとがめた森内名人が一気に優勢になったのです。
私は、
( ̄□ ̄)!エッ?!!
ってなってから、
○| ̄|_ナンダヨ・・・
ってなりました。
1週間に1度の楽しみ、NHK杯テレビ将棋トーナメントですよ。新進気鋭の佐藤4段vs森内名人ですよ。開局してまだ数手ですよ。数分ですよ。
私は、モンゴルでサッカーしていたことがバレた朝青龍みたくションボリしました。
(ダメだ・・・もうダメだ・・・。)
(佐藤4段が一気にツブされるよ。)
(あああ、来週誰の対局なんだろうか・・・。)
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しかし、そこから佐藤4段の反撃が始まったのです。最終的には負けたのですが、序盤の凡ミスをじわりじわりと挽回し、森内名人の王様をあと一歩のところまで追い詰め、最終的には145手という長期に渡って粘り、勝利を目指しました。
佐藤4段、プロ10ヶ月、19歳、超えらい。
新4段と名人の対局というのはなかなか実現するものではありません。名人戦や竜王戦は、長期にわたるリーグ戦で徐々に番付を上げていかないと対局できないのです。こんな組み合わせはNHK杯テレビ将棋トーナメント戦くらいです。また、テレビ放映も珍しいことです。私の知る限り、このNHK杯の他はほとんどテレビ放映されません。
おそらく、佐藤4段はこの対局を心待ちにしていたはずです。テレビカメラの前で名人を倒し、「佐藤天彦」の名を世間に知らしめたかったはずです。私が佐藤4段の立場なら、親戚中に連絡を回し、DVDは2台くらい用意したいところです。あとスーツも買う。
それが数手で凡ミスです。もう名人と対局することなんかしばらくはないでしょう。そのときの心中はいかばかりか。
でも佐藤4段はあきらめなかった。対局中、何度も眉をしかめ、首をうなだれ、扇子を震わせながらも知恵を絞り、最後には解説者が「大逆転が見えてきました!」というところまで名人を苦しめました。プライドはズタズタになったかもしれませんが、いい棋譜をきちんと残しました。
今はハンカチ王子やハニカミ王子ってのが世の中の流行みたいですが、私はあんなにえらい若人は見たことがありませんでしたよ。佐藤4段、超えらい。
私は今、塾生に囲まれて順風満帆な生活を送っていますが、この先何か辛いことがあったときは、昨日の佐藤4段の姿を胸に刻んで頑張ります。
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[一言]
私も、・・・・・・・・・
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NHK杯トーナメント感想文 への2件のコメント

  1. ケコ

    基本的にコメントの連投は、控えてるのですが、今日の記事は、とってもよかったので、コメントします!読んでいて、胸の奥が熱くなりました!19歳の佐藤4段をみてみたいと思いました!

  2. 中島先生

    コメントありがとうございます。
    いやあ、あの「熱」はまだまだ伝えられなかったと後悔しているくらいです(^^)もうちょっと時間のあるときにじっくり書きたかったという後悔はありますが、今回は鮮度を優先してこの日に書きました。
    顔つきを見ると生意気な若造なんですよ。それが、自分の凡ミスを真正面から受け止めて、勝ち目のない将棋に四苦八苦し、工夫しながら粘る姿に感動しました。

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