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軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで犯罪を抑止できるとする環境犯罪学上の理論で「割れ窓理論」というのがある。アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリングが考案したもので、「建物の窓が壊れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になりやがて他の窓もまもなく全て壊される」との考え方だ。
この割れ窓理論は、塾にも当てはまる。小さな落書きを放置しておくと、大きな落書きになり、やがて机が削られたり椅子が壊されたりという事態に発展する可能性もある。
また、この割れ窓理論は塾生自身にも当てはまる。「数学が苦手だ」という子のプリントをよく見てみると0か6か分からないような数字が書いてあったり、「英語が嫌いだ」という子のテストを見てみると、hかnかrか分からないような文字が並んでいる。
また、そもそもプリントに名前が書いてなかったり、普通なら漢字で書くような言葉もひらがなになっていたり、プリントにジュースのシミがあったりする。こうなってくると、窓なんて全てバリバリに割れてしまっていて、建物自体もたっているのか崩壊しているのか怪しい感じだ。
スポーツでいうと、シューズのカカトを踏むようなものだ。
難問を華麗に解いたり面白いギャグの入った授業も確かに魅力的だろうが、こういう割れた窓をどう根気強く直していくかが、柔道でいう寝技のような地味で大切なポジションを占める。