中島先生の教え

中島塾の中島です。こんにちは。

このお話は、フィクションです。

『キミは野球をやっているって言ってたよね、ユウイチくん。』

中島先生は、わらぐつの中の神様のような笑顔で言った。

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『石川県代表にも選ばれたそうじゃないか。すごいよね。そんなユウイチくんだから、小学生が教わりに来るかもしれない。』

『はい。そう言えばこの間、従弟の素振りを見てあげました。』

ユウイチは、お手紙をもらったがまくんのように鼻を膨らませて得意気に言った。

中島先生はニコニコしながら、ルロイ修道士のように大きくうなずいて話を聞いている。

『その子がさ、毎日毎日夜中の2時3時までスナック菓子食べながらコーラ飲んでて日中はアクビばっかり、ユニフォームの裾がベルトの上から出ていたら、ユウイチくんはどう思う?』

『きっと素振りを見てあげなかったと思います。』

『じゃあ「素振りを見てください!」って言ってきたけど、「バットを忘れてきました!」は?』

『話になりません。帰れって言うと思います。』

ユウイチは、がんを狙う大造じいさんのように鋭い目つきになった。

中島先生はルロイ修道士のニコニコを崩さない。

『残念ながら、今のユウイチくんがそれなんだよ。昨日遅くまでテレビゲームをしていて、今日は体調が悪いよね。筆箱を忘れて宿題は家に置いてきた、そうだよね。』

『はい・・・。』

『キミの志望校は泉丘高校なんだろ。これを「県大会でベスト4に残ること」って目標に置き換えてみると、何をしなければならないか分かるかい。』

『やりたいことの一部を我慢して体調を整え、正しい練習をした上で改善点をコーチに質問することだと思います。』

『その通りだ。野球と勉強って一見全然関係ないように思えるかもしれないけど、「今はできないことを練習することによってできるようにする」って考えると、同じなんだよね。』

『分かりました。今日は体調が悪いので早く帰って、明日万全の状態で塾に来ます。』

ユウイチは、「ボクが目になろう。」と言ったときのスイミーのように真っ直ぐな眼差しで前を見据えた。

『アオーン。』

外ではごんぎつねが鳴いている。日は大きく傾き、西の空が茜色に染まっていった。

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